言葉の正しい表記が作品の品格を支えている象徴的な例が、1990年代を代表する名作映画『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』だ。脚本を手掛け、自ら主演を務めたマット・デイモンの出世作であり、アカデミー賞脚本賞を受賞した伝説的なヒューマンドラマである。
本作のタイトルにおける「グッド(Good)」は、主人公ウィル・ハンティングの名前と、「善意」や「好意」を意味する「Goodwill」を掛け合わせた重層的なダブルミーニングになっている。もしこれが「グット」と表記されていたら、作品が持つ洗練された詩情や文学的な深みは半減していただろう。映画のタイトル決めにおいて、外来語の正統な表記を守ることがいかに重要かを物語る好例だ。