デジタル表現が高度化する一方で、実体を持つフィジカルメディアの価値もかつてないピークを迎えている。特にZ世代からAlpha世代にかけてのアナログ盤(LPレコード)ブームは衰える兆しを見せない。彼らにとって、30センチ四方の巨大な紙ジャケットは単なる製品パッケージではなく、部屋に飾る最高精細の美術品だ。
インクの匂い、紙の質感、限定盤に施された特殊なホログラム加工やシルクスクリーン印刷。デジタルでは絶対に再現できない「手触り」と「重量感」を求めるファンは、音源自体はサブスクで聴きながらも、ジャケットを「所有」するために決して安くない金額を投じる。部屋の壁にジャケットをディスプレイし、その空間ごとSNSで共有する文化が定着したことで、ジャケットの持つインテリア的価値が急上昇しているのだ。