実際に20号壕に足を踏み入れると、外気とは異なるひんやりとした湿気と静寂が全身を包みます。保存工事によって崩落防止の支柱や通路が整備されているものの、岩肌を削ったツルハシの跡、薬品瓶の破片が見つかった痕跡、壁面に残る煤(すす)の跡など、南風原陸軍病院の現在の様子には当時の生々しい爪痕がそのまま残されています。
壕内ではガイドの案内により、懐中電灯を消して当時の完全な暗闇を数秒間体験する時間が設けられることがあります。光が一切届かない漆黒の中で、砲弾の轟音と負傷者のうめき声に囲まれていた当時の人々の絶望感は、言葉を失うほどの衝撃を与えます。
現地を訪れた来訪者からは、「教科書や映像資料だけでは分からなかった壕内の狭さ、湿度の重み、そして生き残ることの厳しさを痛感した」「ひめゆりの塔だけでなく、実際に活動していた南風原の現場を見ることで点と線がつながった」といった声が多く寄せられています。