「会社の指示だから従わなければいけないのでは」と思い悩む必要はありません。個人携帯の業務利用は労働者の自由意思に基づく合意が絶対条件であり、会社からの強制は原則拒否が可能です。
法的な根拠としてまず挙げられるのが、日本国憲法第29条で保障された「財産権の不可侵」および民法上の所有権です。私物スマートフォンは従業員自身が購入代金を支払い、毎月の通信キャリア契約を結んでいる純粋な私的財産です。労働契約とは「労働者が労務を提供し、使用者がこれに対して賃金を支払う」契約(労働契約法第6条)に過ぎず、自己の私有財産を会社の営利活動に無償で提供する義務まで含まれていません。
企業が業務命令として私物携帯の使用を強要した場合、「業務命令権の濫用(労働契約法第3条5項)」に該当し、法的に無効となる可能性が極めて濃厚です。厚生労働省が定めるテレワークガイドライン等においても、私物端末を業務に利用する際は労使間での十分な合意形成と費用負担の明確化が前提とされています。合意のない一方的な命令は、コンプライアンスの観点からも明確なルール違反です。