スーパーの店頭で棚が完全に空になり、「お1家族様1点限り」の張り紙が全国で相次いだ光景は、多くの人々に衝撃を与えました。この事態を招いた最大の引き金は、複数の要因が最悪のタイミングで連鎖した「複合ショック」です。
第一の決定打となったのが、記録的な猛暑による「高温障害」です。前年の夏場に続いた猛烈な熱波により、稲の登熟期に白未熟粒(米が白く濁る現象)や胴割れ米が多発しました。これにより農産物検査における一等米比率が大幅に低下。精米時に米粒が砕けて歩留まり(製品化できる割合)が悪化したことで、流通可能な実質的な主食用の供給量が想定以上に目減りしました。
第二の要因は、想定を上回る急激な実需の増加です。新型コロナウイルス禍からの経済再開に伴い、外食産業の需要が急回復したほか、急増した訪日外国人観光客(インバウンド)による外食消費も米の消費量を大きく押し上げました。
そして決定打となったのが、2026年8月に発表された「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」や相次ぐ台風接近を受けた消費者の防衛心理です。不安に駆られた家庭が一斉に米を買い求めた結果、わずか数日のうちに全国のスーパーで在庫が一気に枯渇しました。