実際の街中における車椅子対応自動販売機の利便性について、当事者や福祉関係者の声を取材・検証すると、設計上の配慮がもたらす恩恵とともに、現場ならではの課題も見えてきます。
脊髄損傷により車椅子で生活する当事者は、「以前は最上段に飲みたいお茶があっても手が届かず、仕方なく下段のジュースを選んでいた。低い位置に番号ボタンがあるUD機や、下段に主要ラインナップがまとめられた自販機では、誰の手も借りずに好きなものを選べる尊厳がある」と語ります。また、片麻痺のある高齢者からは、「取り出し口が上に持ち上がっているだけで、杖をつきながら片手で商品を取り出せるため、転倒の恐怖が大幅に減った」という実体験が寄せられています。
しかし一方で、設置現場の周辺環境による制約も指摘されています。SNSや当事者コミュニティの検証報告によると、自販機本体がUD仕様であっても「自販機の手前に15cmの段差がある」「周囲に点滅ブロックやカラーコーンが置かれていて車椅子が横付けできない」といった、いわゆる周辺インフラのバリアによって利用が阻まれるケースが散見されます。