生ハム本来のとろけるような舌触りと芳醇な香りを引き出すには、カット技術と道具選びが極めて重要です。厚切りにしてしまうと硬くて噛みきれず、せっかくの高級生ハムの魅力が半減してしまいます。
ハモンセラーノ原木の切り方のポイントは、常に刃を寝かせ、肉の繊維に対して平行に「向こう側から手前へ、力を入れずにスライドさせる」ことです。力任せに押し切るのではなく、ノコギリのように刃の長さ全体を使って薄く削ぎ落とす感覚を掴むと、向こう側が透けて見えるほどの極薄スライスが完成します。
この繊細なカットを支える土台となるのが、ハモネロと呼ばれる生ハム専用台です。ハモネロがぐらつくと狙った厚さにスライスできず、刃が滑って手を怪我する危険性があります。台座にしっかりとした重量があり、蹄側と底面を強固にネジ止めできる頑丈なモデルを選ぶことが安全上も必須です。
道具面では、専用生ハムナイフのおすすめとして、刃身が細長く適度な「しなり」を持つフレキシブルナイフが挙げられます。肉のカーブに沿って刃が柔軟に曲がるため、骨の周りでも均一な厚みを保ちやすくなります。定期的に研ぎ器でメンテナンスし、鋭い切れ味を保つことが美しくスライスするための秘訣です。