2026年現在の電子書籍業界においては、かつての単純な「仕入れ・販売」モデルとは異なる「エージェンシーモデル(代理店モデル)」が定着している。これはストアが価格を決めるのではなく、出版社が販売価格を指定し、ストア側は売上に応じた一定の手数料(売上の30%前後)を受け取るという仕組みだ。
講談社をはじめとする大手中堅出版社は、デジタルコンテンツの権利を集中管理し、自社コンテンツの価値低下を防ぐためにこのモデルを活用している。価格決定権が出版社側にあるため、ストアが勝手に新刊を100円や200円に値下げして叩き売りすることはできない。
編集者の人件費、著者への原稿料やロイヤリティ、プロモーション費用といった「コンテンツそのものを生み出すコスト」は、紙であっても電子であっても一切変わらない。出版業界の収益構造において、定価を下げられない最大の理由は「本の中身を作る費用」自体が不変だからである。