このことわざは日本古来のものではなく、ヨーロッパ各地に伝わる民間伝承やイギリスの格言が明治期以降に日本語へと翻訳・定着したものです。英語圏では主に以下のようなフレーズで知られています。
- "Praise a fine day at night."(夜になってから晴天を褒めよ)
- "Do not praise a fair day before the evening."(夕暮れを迎える前に良い日だと褒めるな)
- "Praise day at night, and life at the end."(一日は夜に、人生は終わりに称賛せよ)
海洋国家であるイギリスをはじめとする西欧諸国は、偏西風や海洋性気候の影響で1日の天候が激しく変動しやすい風土を持っています。朝の快晴が数時間後には驟雨へと変わる日常を生き抜いてきた生活者たちの実体験が、そのまま人生の深淵な知恵へと昇華されました。
さらに遡ると、古代ギリシャの歴史家ヘロドトスが著した『歴史』において、アテナイの賢人ソロンがリュディア王クロイソスに告げた「人間が生きている間は幸運な人とは呼んでも、幸福な人と呼んではならない。生涯の終わりを見届けるまでは何事も確定しない」という哲学的一節に原点をみることができます。洋の東西を問わず、人間の運命に対する畏怖と慎重さは、歴史を通じて共有されてきた生存戦略なのです。