家庭にあるアルミニウム箔を使った応急処置は、科学的にも一定の根拠が存在する。アルミニウムは鉄やステンレスに比べて非常に柔らかい金属だ。これを鋏で切断すると、刃先に付着した粘着テープの糊や油分などの有機汚れが箔によってこそぎ落とされる。さらに、アルミニウムの構成粒子が刃先の極小の欠けに一時的に充填され、滑り抵抗が激減する。だが、これは研磨ではなく「クリーニングと目詰め」に近い。
真の鋭さを取り戻すには、やはり物理的に金属を削り出す砥石や研磨材が不可欠だ。ダイヤモンドシャープナーなどの高硬度研磨材は、鈍角化した金属表面を削り、新たな鋭角の稜線を作り出す。日々の手入れとしてのアルミ箔と、刃先の再成形を行う研削ツールでは、役割のレイヤーが根本から異なるのだ。