田村文宏が工房を構える愛知県は、瀬戸や常滑といった日本屈指の窯業地帯を擁する。幼少期から陶物に囲まれる環境で育った彼は、自然な流れとして土と戯れ、火で焼くという人間の根本的な創造行為に魅了されていった。愛知県立窯業高等技術専門校で確かな基礎技術を学んだ後、自身の表現を模索する旅が始まる。
彼が選んだ道は、単に日本の伝統的な様式美をトレースすることではなかった。自らの足でアジア各地を巡り、博物館や古美術市場で出合った名もなき職人たちの手仕事に強い衝動を受ける。古いベトナムの安南焼、タイの斑唐津に通ずる古窯の破片、そしてインドの金属器や土器。時空を超えたそれらの器物は、彼の造形感覚へ深く染み込んでいった。