1990年代初頭、サブカルチャーと情報誌が入り交じる言論空間に突如現れた『ゴーマニズム宣言』は、まさに青天の霹靂だった。当時のメディアは、専門家や文化人と呼ばれる「知識人」が一方的に上から目線で語るスタイルが主流であったが、小林よしのりは自身を主役に据え、自らの肉体感覚と葛藤をそのままコマの中に叩き込んだ。
この挑戦的な企画を世に送り出す決断をしたのが扶桑社である。『週刊SPA!』というカルチャー誌の柔軟な枠組みがあったからこそ、タブーを恐れない生々しい表現が毎週のように読者の元へ届けられた。常識を疑い、自らの思想を自覚的に組み立てる「個の確立」を迫る姿勢は、若い世代を中心に熱狂的な支持を集めることとなる。