当時、タイでの性別適合手術にかかる費用は、渡航費や長期滞在費、前後の治療費を含めて数百万円規模にのぼりました。はるな愛は10代半ばからショーパブや飲食店での過酷なアルバイトを掛け持ちし、睡眠時間を削りながら自力でその大金を貯め抜きました。
渡航先はトランスジェンダー医療で世界中から患者が集まるタイ・バンコクの専門病院。言葉も十分に通用しない異国の地で受ける大手術は、まさに命がけの挑戦でした。
後年のインタビューで明かされた当時の医療環境は非常に過酷で、術後の激しい疼痛や過酷なケア、孤独との戦いは想像を絶するものでした。「麻酔から覚めた瞬間の激痛と、これで後戻りはできないという覚悟が一気に押し寄せた」と語る通り、心身を極限まで削りながら手に入れた女性の身体でした。