「新田」という名字を名乗るにあたり、新田真剣佑が最も大切にした礼儀がありました。それは、生みの親である原作者・末次由紀氏に対する筋を通すことでした。報道関係者や関係者の証言によると、彼は事務所主導で形式的に改名を進めるのではなく、自ら末次氏に直接連絡を入れ、「新という役名から名字をいただき、新田真剣佑として生きていきたい」という真摯な思いを伝えたといいます。
突然の申し出に対し、末次由紀氏は深く心を打たれ、二つ返事で快諾しました。末次氏は後にSNSやインタビュー等で当時の喜びを振り返り、「キャラクターをそれほどまでに愛し、自分の人生の一部として背負ってくれたことが本当に嬉しい」と最大の賛辞を贈っています。原作者と演者が単なるビジネス上の関係を超え、互いの魂を預け合うような信頼関係がここに結実したのです。
そもそも、彼が綿谷新役を射止めたプロセス自体が完全な実力主義によるものでした。世界的アクションスター・千葉真一氏の長男という出自を持ちながらも、小泉徳宏監督をはじめとする製作陣は一切の特別扱いを排除。熾烈を極めた全国規模のオーディションにおいて、新田真剣佑は並み居る若手俳優たちを圧倒する集中力と、孤独の中に炎を秘めた新の佇まいを完璧に体現し、自らの腕一本で主役級の座をもぎ取りました。そのひたむきな姿勢があったからこそ、末次氏も彼の改名を心から祝福したのです。