どれほど優れた成分であっても、体内に吸収されなければ意味がない。リコピン研究所の取材で判明した最も重要な事実は、「生のトマトをそのまま食べるだけでは、リコピンの能力を半分も引き出せていない」という点だ。
リコピンは脂溶性(油に溶けやすい)の性質を持つ。そのため、オリーブオイルなどの植物油と一緒に調理することで、小腸での吸収率が飛躍的に高まる。さらに、加熱処理を加えることでトマトの細胞壁が破壊され、リコピンが細胞外へ溶け出すとともに、吸収されやすい「シス体」構造への変換が促されるのだ。生のトマトよりも、加熱加工されたトマトペーストやジュース、ソースの方が高い血中リコピン濃度を示すのはこのためである。
さらに最新の「時間栄養学」の視点からも興味深い事実が判明している。朝食時にリコピンを摂取したグループは、昼や夜に摂取したグループに比べて血中リコピン濃度の時間変化量が最も高く、最も効率的に吸収されることが確認された。「朝、温かいトマトスープにひとすじのオリーブオイルを垂らして飲む」――これこそが、吸収率を最大化する現代の黄金ルールと言えるだろう。