番台の笑顔に迎えられて浴室へ向かうと、そこには息をのむ光景が広がっていた。伝統的な富士山のペンキ絵や見事なモザイクタイルといった昭和の意匠を寸分違わず残しながら、浴室奥のサウナエリアが劇的な進化を遂げていたのだ。独自に入手した情報によると、今回の改修では躯体の補強とともに、温湿度管理をミリ単位で制御する最新鋭の熱源システムが密かに導入された。
木壁から漂うヒノキの香気。薄暗い間接照明に照らされたサウナ室に身を委ねると、マイルドでありながら毛穴の奥までじんわりと熱が浸透してくる。熱せられたサウナストーンに天然地下水が落ちるたび、きめ細やかな蒸気が身体を包み込む。水風呂には、荒川の豊かな伏流水が惜しげもなく掛け流されており、肌当たりは羽衣のように極めて柔らかい。温度計は16度を指しているが、体感は驚くほどまろやかだ。古き良き風情を残したまま、現代のサウナーを唸らせる先鋭的なセッティングを実現した手腕には脱帽するほかない。