「でいごの花が咲き 風を呼び 嵐が来た」
1990年代初頭、ロックバンドTHE BOOMが発表した『島唄』の冒頭は、まさにこの花の描写から始まる。作詞・作曲を手がけた宮沢和史は、沖縄を訪れた際に立ち寄ったひめゆりの塔で生存者の証言に触れ、言葉を失うほどの衝撃を受けたという。地上戦の地獄を生き延びた女性が語った「デイゴが美しく咲いた年に戦争が始まった」という記憶が、彼の心に消えない杭となって打ち込まれた。
赤く咲き誇るデイゴは命の爆発であると同時に、戦火に散った尊い命のメタファーでもある。本土出身のミュージシャンが、琉球音階と痛切な反戦詩を融合させて生み出したこの旋律は、単なるヒット曲の枠組みを完全に超越した。デイゴの赤は、名もなき犠牲者たちの流した血の色と重なり合い、聴く者の胸を強く締め付ける。