一般的な黒っぽい蕎麦(藪や砂場など)と一線を画す最大の特徴は、雪のように白い麺身だ。蕎麦の実を挽く際、最初に削り出される中心部分の「御膳粉」だけを用いる。この部位は全粉量のわずか数パーセントに過ぎない。デンプン質が主体でタンパク質が少ないため、つなぎを使わずに打つには職人の圧倒的な習熟が要求される。
箸で持ち上げたときのしなやかさ。出汁に潜らせ、ツルリと喉を滑り落ちる感覚は、まさに「喉越しを楽しむ」江戸っ子文化の結晶と言える。無駄な雑味を削ぎ落とした純粋な食感は、世界のアッパーミドル層からクラフトフードの至高として認められている。