ライオン研究の第一人者として知られるミネソタ大学のクレイグ・パッカー教授らの研究チームは、長年の個体識別データから新たな事実を提示している。ライオン社会における基本単位であるプライド(群れをつくるメスとその血縁集団)において、交尾の回数は単なる生殖行為にとどまらず、オスの「地位の証明」としても機能しているという。
プライド(群れ)を支配するオスにとって、メスを他のオスから遠ざけ、自らの精子で確実に満たすことは権力維持の絶対条件だ。ライオンのオス同士の戦いは熾烈であり、群れのボスが交代すれば、新しいボスは先代の子どもたちを容赦なく殺す(子殺し)。メスは子殺しを経験すると即座に発情期に入るため、オスは過酷な連続交尾を成し遂げて素早く自分の子を宿させなければならない。未公開の遺伝子解析データによれば、連続交尾の頻度が高いオスほど、群れ全体の父親権を独占し、他個体による遺伝的介入を完璧に防ぎ切っていることが判明している。