国際的な評価を確立した俳優の系譜において、際立った存在感を放っているのが渡辺謙と杏の二人だ。映画『ラストサムライ』で世界的な脚光を浴び、ハリウッドのトップ前線で戦い続けてきた渡辺謙の存在は、あまりにも巨大だった。その娘である杏は、モデルとしてのキャリアからスタートし、自らの実力で女優としての地位を築き上げてきた。
二人の関係性は、甘えや依存とは無縁の冷徹なまでに自立したプロフェッショナリズムに基づいている。フランスと日本を行き来しながらグローバルに活動の幅を広げる杏の姿には、父から受け継いだタフな表現者のDNAが確実に息づいている。公の場で互いについて語る言葉は過度な演出がなく、どこか清々しい。偉大な父の影に隠れることなく、自らの表現を追求し続ける姿は、二世タレントという言葉のイメージを根本から塗り替えた。