埼玉県さいたま市に鎮座する巨大メガアリーナ、さいたまスーパーアリーナ。これまで数々の音楽史が刻まれてきたこの場所で、椎名林檎が提示したのは単なるライブを超えた総合芸術の領域だった。ステージに張り詰める緊張感、視覚を揺さぶる映像プロジェクション、そして狂いなくシンクロする照明デザイン。この世界観を強固に支えているのが、彼女の所属事務所である有限会社黒猫堂だ。緻密な計算と職人技とも言える演出チームの連携が、観客を非日常の深淵へと誘う。
バックステージで張り巡らされた厳戒態勢と、ステージ上で爆発する圧倒的な美意識。細部にまで徹底的にこだわり抜く妥協なき制作姿勢こそが、長年にわたってシーンの最前線を走り続ける原動力に他ならない。