駅から徒歩数分で広がる平潟湾の風景は、金沢八景のアイデンティティそのものだ。近年の都市計画では、この豊かな水辺空間を活かしたプロムナード整備が重点的に進められてきた。ウッドデッキが整備された沿岸の散歩道では、夕刻になるとジョギングを楽しむ市民や、潮風を浴びながら犬を散歩させる人々の姿が散見される。
歴史的に「金沢八景」は歌川広重の連作浮世絵で全国にその名を知られた。現代の都市開発は、その歴史的景観を破壊するのではなく、借景として取り込む手法を採用している。電線の地中化や景観ガイドラインの徹底により、駅前のモダンな建築群と波静かな湾の景観が見事に調和。都市の利便性と豊かな自然美が背中合わせに存在する環境は、首都圏でも稀有な存在感を放っている。