ネット上の体験談やまとめ記事では「1週間で5キロ減」という景気の良い言葉が飛び交いますが、まず直視しなければならないのはエネルギー保存の法則です。人体の体脂肪1kgを燃焼・消費するために必要なエネルギー量は、医学的に約7,200kcalと算出されています。つまり、純粋に体脂肪だけで5kgを削ぎ落とすには、1週間で合計約36,000kcalのアンダーカロリー(消費カロリー>摂取カロリー)を作らなければなりません。
これを1日あたりに換算すると約5,140kcalの消費超過となります。成人男女の平均的な1日の推定エネルギー必要量が1,800〜2,600kcal程度であることを考慮すれば、仮に7日間完全に絶食して激しい運動を続けたとしても、純粋な脂肪だけで5キロを失うことは物理的・生理学的に不可能です。では、実際に短期間で5キロの体重減少を記録した人々の体内では何が起きているのでしょうか。
その主たる内訳は、次の3つの要素による「体水分と固形物の劇的な減少」です。
第1に、体内のグリコーゲン(貯蔵糖質)の枯渇に伴う水分の排出です。肝臓や骨格筋に蓄えられているグリコーゲンは、結合水として自重の約3〜4倍の水分を抱え込んでいます。糖質制限によってグリコーゲンが使われると、それに付随していた大量の水分が尿として体外へ一気に排出され、これだけで1〜2kg前後の重量が数日で消失します。
第2に、消化管内の内容物(便や食物残渣)の減少です。食事の総摂取量を減らし、デトックススープや食物繊維を中心としたメニューに切り替えることで、普段胃腸に滞留している1〜2kg相当の内容物が一掃されます。
第3に、塩分調整によるむくみの解消です。高塩分な加工食品を断ち、カリウムが豊富な生野菜や海藻を摂取することで細胞外液の過剰な水分が抜けていきます。すなわち、1週間で5キロ痩せるという現象は「脂肪が消え去った奇跡」ではなく、「体内の余剰水分と老廃物を極限まで排出した結果」であると理解するのが科学的な真実です。この構造を理解していれば、過剰な期待による挫折や危険な絶食を避けることができます。