日本の調査報道を牽引してきた『NHKスペシャル』や『クローズアップ現代』といった看板番組の現場でも、深刻な変調が報告されている。かつては数ヶ月から1年以上の歳月をかけ、社会の暗部に深く切り込む重厚な番組制作が許されていた。しかし、コスト削減とデジタル配信へのシフトという二重の圧力が、現場のゆとりを奪い去った。
外注化の加速や非正規スタッフへの過度な依存は、調査報道の質そのものを揺さぶる。「再生数が稼げる企画」や「角が立たないテーマ」への偏重が目立ち始め、鋭い問題提起を行うドキュメンタリーは姿を消しつつある。志を持つ若手ディレクターが次々と現場を去り、残されたスタッフが疲弊していく悪循環が今も続いている。