炊飯における最大の過ちは、最初の洗米プロセスで無意識に米へ糠臭さを染み込ませてしまうことです。乾燥状態にある精米は、砂漠の砂のように水を猛烈なスピードで吸収します。農林水産関連の研究データでも、米が吸水する総水量のうち最初の1分間で約10%〜15%の水分を一気に吸い上げることが実証されています。
したがって、お米の正しい研ぎ方の第1ステップは「たっぷりの水を入れたら、2〜3回軽くかき混ぜて10秒以内に素早く捨てる」ことです。ここで時間をかけると、水に溶け出した糠の油分や雑味が米の内部深くまで浸透し、炊き上がりの香りを損ねてしまいます。
その後の研ぎ工程では、昔のように力を込めてゴシゴシと米同士を擦り合わせる必要はありません。現代の精米技術は非常に高度化しており、強く研ぎすぎると米粒の表面が削れて割れ、炊飯時にデンプンが過剰に流出してべちゃついた仕上がりになってしまいます。ボウルの中で指を軽く広げ、シャカシャカとリズミカルに30回ほど円を描くようにかき回し、濁った水を2〜3回入れ替えるだけで十分です。
また、味に直結するのが炊飯用ミネラルウォーターの選び方です。日本の水道水は非常に優秀ですが、残留塩素のカルキ臭が米の繊細な風味をマスキングしてしまうことがあります。市販のミネラルウォーターを使用する場合は、必ず硬度50mg/L以下の軟水を選んでください。マグネシウムやカルシウムが多い硬水(エビアンやコントレックスなど)を使用すると、ミネラル成分が米の細胞壁を硬化させ、芯が残ったパサパサの炊き上がりになってしまいます。コストを抑えたい場合は、最初の洗米用と最後の炊飯用水の2回だけ浄水器の水や軟水ミネラルウォーターを使うだけでも、仕上がりの透明感が別次元に変わります。