家族の危機や不吉な出来事を事前に察知する「虫の知らせ」は、長年スピリチュアルな現象として語り継がれてきました。しかし、認知心理学の観点からは、この現象の多くを「確証バイアス」と「無意識の観察」で説明できます。
人間は、普段から無数の「嫌な予感」を抱いていますが、何も起こらなかった予感はすぐに忘れてしまいます。ところが、予感が的中したケースだけは強烈な記憶として脳に刻まれるため、主観的な当たる確率が異常に高く感じられるのです。これが心理学でいう「選択的記憶」と「確証バイアス」の働きです。
同時に、スピリチュアルな現象として片付けられない現実的な洞察も存在します。例えば、遠方の家族に対して虫の知らせを感じるケースでは、直前の電話の声のわずかな掠れやメールの文体の変化など、言語化されない微小なサインを無意識がキャッチしていた例が多々あります。超常現象のように見える出来事の裏側には、人間が持つ驚異的な観察眼が隠されているケースが少なくありません。