大学での研究成果を社会実装へと結びつけた中心人物が、生物学者の広津崇亮氏だ。同氏が創業したHIROTSUバイオサイエンスは、大学発ベンチャーとして日本のバイオテクノロジー産業における成功モデルのひとつとして称賛されてきた。
研究室レベルの実験系を、毎日数千件単位の検体を安定して処理する自動化ラインへと高める工程には、膨大な技術的ハードルが存在した。光学カメラによる線虫の移動軌跡の追跡、画像解析アルゴリズムの自動化、温度・湿度の厳密な環境制御など、独自の工学技術が集約されている。
一研究者の発見から始まったイノベーションが、巨大なビジネスエコシステムを形成し、新産業の創出へとつながった経緯は、学術研究の産業応用における試金石として高く評価されている。