ネット上の口コミやSNSでは「首すわり前の縦抱きは背骨が曲がる」「脳に障害が出る」といった極端な言説が散見されます。しかし、これらの多くは誤った抱き方による二次的リスクと混同されています。注意すべき真のリスクは以下の2点に集約されます。
1. 「首カックン」による気道閉塞と頸椎への負荷
新生児の頭部は全体重の約3割を占め、首の筋肉や靭帯は極めて未熟です。大人が首の支えを緩めた瞬間に頭が前後に激しく倒れる「首カックン」が起こると、重篤な頸椎捻挫を引き起こす恐れがあります。
さらに見落とされがちなのが「あごが赤ちゃんの胸に強く押し付けられる前屈姿勢」です。新生児の気道はストローのように細く柔らかいため、首が深く前に折れ曲がることで気道が物理的に狭窄し、無呼吸や低酸素状態に陥る危険性があります。縦抱き時は、赤ちゃんのあごと胸の間に「大人の指1本分の隙間」が確保されているかを常に確認しなければなりません。
2. 下肢のぶら下がりによる「発育性股関節形成不全(股関節脱臼)」
日本小児整形外科学会が長年警鐘を鳴らしているのが、赤ちゃんの足がピーンと伸びた状態(下肢伸展位)で固定されることによる股関節脱臼です。
縦抱きにした際、お尻の支えが浅く、赤ちゃんの両足がまっすぐ下に垂れ下がってしまうと、大腿骨頭が寛骨臼から外れる方向へ強い力がかかります。必ず膝がM字型に曲がり、太ももからお尻全体が包み込まれている「コアラ抱き(M字リップ姿勢)」を厳守してください。