河川の決壊だけが台風の恐怖ではない。都市部に潜む最大の罠が「内水氾濫」だ。
一時間に100ミリを超えるような烈烈たる降雨が都市を襲った場合、下水道の排水能力はあっさり限界を迎える。アスファルトに覆われた街では行き場を失った雨水が道路を川に変え、地下街や地下駐車場へ一気に流れ込む。2026年の都市構造においても、この水圧による地下ドアの開閉不能事故は絶えない。
さらに深刻なのが、再開発が進んだエリアのタワーマンションだ。地下に設置された配電設備が浸水すれば、建物全体が瞬時に全停電に陥る。エレベーターの停止、水圧ポンプのストップによる断水、トイレの使用不可。高層階に取り残された住民が「孤立した難民」となる構造的弱点は、依然として解消されていない。