伊奴神社の主祭神は、素盞嗚尊(すさのおのみこと)、大年神(おおとしのかみ)、そして神社名の由来ともなっている伊奴姫神(いぬひめのかみ)です。伊奴姫神は五穀豊穣、子孫繁栄、そして安産祈願・厄除けの神として崇敬されてきました。
一方で、伊奴神社が「犬の聖地」として語り継がれる最大の要因は、境内に伝わる犬の王伝説にあります。社伝によると、平安時代、この地が庄内川の度重なる大洪水に悩まされていた際、山伏が「犬の王」と書かれた御幣を立てて祈祷したところ、水害がピタリと収まったといわれています。その後、約束を違えて御幣を開いてしまった村人に再び災いが降りかかりそうになったものの、山伏の教えに従って犬の像を彫り、手厚く祀ったことで村は再び平穏を取り戻しました。
この伝説に登場する犬を模した石像が、現在も境内社「白髭社」の前に鎮座する「犬石像(犬の王)」です。この石像を撫でることで厄難が祓われ、安産や子宝に恵まれるという信仰が生まれ、現代では「愛犬の無病息災」「ペット健康祈願」の象徴としても全国に知れ渡るようになりました。