神社を抱く老蘇の森は、日本の古典文学において特別な意味を持ち続けてきた。古今和歌集や万葉集にもその名が記され、「老いてもなお蘇る」という縁起の良い名にちなんだ伝承が今も色濃く残る。鬱蒼と茂る杉やクスノキの古木は、かつてこの地が琵琶湖東岸の広大な原生林の一部であったことを現代に伝えている。
森林浴をしながら参道を歩くと、足元で踏みしめる落ち葉の音だけが周囲に響く。都会の雑踏では決して味わえない、時が止まったかのような感覚。古の歌人たちがこの森の静寂に何を思い、筆を走らせたのか。木漏れ日の中で耳を澄ませば、風が葉を揺らす音の中に千年前の息吹を感じ取ることができるだろう。