病の発覚後、夏八木さんは通院しながら抗がん剤治療などを進めていましたが、仕事をセーブして休養に入ることは一切ありませんでした。むしろ、残された時間を意識するかのように、オファーを受けた撮影現場へ精力的に足を運び続けました。
すい臓がんは進行に伴い背中や腹部に激しい痛みを伴うケースが多く、夏八木さんの体にも深刻な負担がかかっていました。現場では鎮痛剤を使用し、カメラが回っていない時間には強い疲労感を見せることもあったものの、いざ「本番」の声がかかると瞬時に背筋を伸ばし、威厳に満ちた佇まいと鋭い眼差しを披露したといいます。
当時、現場のスタッフや共演者たちは「最近少し痩せられたな」「体調が万全ではないのかもしれない」と感じていたものの、まさか末期のすい臓がんと闘っているとは誰も夢にも思いませんでした。妥協を一切許さず、痛みを気迫でねじ伏せながら芝居に情熱を注ぎ込んだその姿は、まさに壮絶な闘病の記録そのものでした。