信太山新開地の路地に一歩足を踏み入れれば、タイルの装飾や丸窓、木造の飾り格子といった昭和レトロ建築・文化遺産としての意匠が随所に残されていることに気付く。赤線時代から続くカフェー建築の面影は、建築史や民俗学の観点からも極めて貴重な遺産といえる。
しかし、建物の老朽化と担い手の高齢化は容赦なく押し寄せている。防災基準や維持管理の問題から建て替えを迫られる店舗も少なくないが、安易に新築すれば往年の独特な風情は失われてしまう。歓楽街・旧遊郭としての命脈を保ちながら、この貴重な景観をどのように次世代へ残していくのか。組合は今、歴史的遺産の継承と現代的経営の間で難しい舵取りを迫られている。