国民栄誉賞の歴史は、単なる受賞者のリストではない。そこには、あえてその名誉を拒んだ者たちの強烈な美学が存在する。最も有名なのは、元プロ野球選手の福本豊氏だろう。「立ち小便もできなくなる」というあまりにも有名な言葉を残して辞退した彼の決断は、今も語り継がれている。一見ユーモラスだが、そこには「模範的な人間」であることを求められるプレッシャーへのリアルな拒絶があった。
さらに、世界的なスーパースターであるイチロー氏も、複数回にわたりこの賞を辞退している。「現役を引退した時に頂けるよう励みたい」という彼の言葉は、常に前を向き、過去の栄光に甘んじないストイックな姿勢そのものだった。賞の価値は、授与された者だけでなく、辞退した者の生き様によってもまた、逆説的に高められているのだ。