紙の絵本や文庫にとどまらず、デジタルの波が押し寄せる現代においても本作の輝きは失われていない。国内最大級の絵本情報サイト「絵本ナビ」では、かつて涙した親世代が「我が子に絶対に手渡したい一冊」として熱量の高いレビューを寄せ合い、星評価とともに熱烈な推薦コメントが連日更新されている。
さらに、Amazon Kindleをはじめとする電子書籍プラットフォームの普及により、普段は児童書コーナーに足を運ばない20代から40代のビジネスパーソンや若年層が、スマートフォンやタブレットで手軽にアクセスする動きが顕著だ。スキマ時間に読んだ読者が、その予想を超える精神的深度に打ちのめされ、SNSで長文の感想を投稿する現象が日常的に起きている。
タイパや即効性のある娯楽が溢れる出版業界にあって、半世紀前の骨太な児童文学がデジタル経由でロングセラーを更新し続ける様は、ひとつの痛快な事件だ。小手先のギミックに頼らない「本物の言葉」は、フォーマットを選ばず読者の心に届くという事実を、本作は鮮やかに実証している。