大阪府出身の彼が上京した当初、その胸に抱いていたのは「映画を作りたい」という強い衝動だった。大学で演劇学を専攻する中で、表現の手段として演じることの魅力に取り憑かれていく。しかし、当時の小劇場演劇の世界は甘くはなかった。演じれば演じるほど、理想と現実のギャップに打ちのめされる日々が続いた。
「何かを表現したいけれど、どうすればいいのか分からない」。そんな若者特有のモヤモヤを抱えながら、彼は劇団のオーディションを受け、舞台に立ち続けた。この時期のインプットと挫折が、後の彼の演技に深い陰影を与えることになる。