この神社を語る上で、徳川家康の存在を外すことはできない。元服の儀を執り行った地であり、大御所として駿府城に移ってからも、天下泰平を祈願する聖地として特別な意向が注がれた。大河ドラマ『どうする家康』の放送をきっかけに、当時の家康が直面していた政治的決断や信仰心が改めて脚光を浴びたが、境内にはその息吹が今も色濃く残っている。NHKオンデマンドなどで過去の映像作品を見返してから現地を訪れると、家康が見つめていた景色と現代の景観が立体的に重なり合ってくる。
江戸幕府の手によって数回にわたり造営・修復が行われた社殿群は、まさに当時の職人技術の極致だ。単なる権力誇示の建造物ではなく、家康個人が抱いていた深い祈りと、駿河の地に対する特別な愛着が随所に込められている。