蒙驁の武将人生を語る上で欠かせないのが、趙の元三大天・廉頗との長きにわたる因縁だ。若き日の蒙驁は、廉頗に一度も勝てず、深い敗北感を抱え続けていた。その屈辱を胸に秘め、数十年かけて練り上げたのが山陽の決戦陣地だった。
「フォッフォッフォ」と温厚に笑う裏で、四十年にわたり廉頗対策の研究を重ねていた執念。本陣に侵入した廉頗に対し、自ら大巨剣を振るって立ち向かう姿は、まさに圧巻の一言だった。結果として個人戦での決着はつかなかったものの、廉頗からその執念と将としての器を認められる場面は、作中屈指の名シーンだ。
彼が遺した言葉には、人生の本質を突く名言が多い。「フォッフォッフォ、迷った時は基本に返るんじゃ」「強くなれ、信」。決して天才ではないからこそ出せる温かい教えは、読者の心に強く響き続けている。