宮廷画家ディエゴ・ベラスケスが描いた名画でも知られるスペイン国王フェリペ4世。彼の肖像画を見ると、引き締まった顔立ちの中にも、すでに突き出た下顎と落ち窪んだ眼窩がはっきりと確認できる。だが、この遺伝的負荷が最高潮に達したのが、彼の息子であり同朝最後の国王となったカルロス2世だ。
カルロス2世の代になると、症状は単なる容貌の変形にとどまらなかった。出生時から極度に体が弱く、3歳まで歩行もままならず、成人後も慢性的な体調不良と精神的虚弱に悩まされ続けた。宮廷画家たちは王の容姿を少しでも美化しようと苦心したが、残されたデッサンや海外使節の秘密報告書は、正常な噛み合わせを完全に失った哀しき国王の姿を赤裸々に伝えている。