戦没者追悼式に参加する遺族の多くが、今なお「墓標のない弔い」を続けている。太平洋戦争で戦没した約310万人のうち、海外で没した戦没者の遺骨の約半数にあたる約112万柱が、いまだ現地に放置されたまま回収されていない。南方戦線のジャングル、シベリアの酷寒の地、あるいは海底の砂の中に沈んでいる。
2026年、厚生労働省の遺骨収集事業は、最新のAI解析と微量DNA鑑定技術を全面的に導入した。しかし、現地住民の居住環境の変化や現地の政情不安、そして遺族の高齢化に伴う比較対象サンプル(遺族のDNA)の消失という時間が立ちはだかる。「父の骨のかけらだけでも抱きしめたい」。そう願いながらこの世を去った遺族たちの無念を、私たちはどう受け止めるべきなのか。追悼式の壇上に掲げられた巨大な「全国戦没者之霊」の標柱の前に立ち尽くす遺族の背中は、この国家的な課題が未解決であることを無言で告げている。