「もしバナゲーム」は、米国で開発されたカードゲーム「Go Wish」を原案に、日本の死生観や医療環境に合わせてローカライズされたコミュニケーションツールです。亀田総合病院の医師らで構成される一般社団法人iACPが開発・普及を手がけています。
このゲームが体験者の心を激しく揺さぶる最大の理由は、「頭で考える理想」と「直感で選び取る本音」のギャップが浮き彫りになるからです。普段は「家族に迷惑をかけたくない」「痛いのは嫌だ」と漠然と考えていても、いざ限られた選択肢の中で何かを捨てなければならない局面に立たされると、自分の奥底にある本当の優先順位に直面します。
看取りや緩和ケアの現場では、本人の意思が確認できないまま家族が重い決断を迫られ、一生消えない後悔(代理意思決定のトラウマ)を抱えるケースが後を絶ちません。「もしバナゲーム」は、ゲームという安全な枠組みの中で、重いテーマを重くなりすぎずに言語化できる場を提供します。カードを介すことで、照れくささやタブー感が払拭され、普段言えない本音が自然と口からこぼれ落ちるのです。