霞の呼吸の完成形とも呼べる「漆ノ型 朧」は、単なるスピード勝負ではなく「視覚と認知のハッキング」とも言うべき恐るべきカラクリを備えています。
無一郎は意図的に自身の身幅に合わないブカブカの隊服を着用しています。これにより、手足の長さや関節の動き、筋肉の予備動作が外側から一切判別できません。この視覚的カモフラージュに極端な初速の緩急が組み合わさることで、相手の動体視力と空間把握能力を完全に狂わせます。
上弦の伍・玉壺との戦いにおいて、玉壺は無一郎が目の前に静止していると認識した瞬間、すでに背後に回り込まれて首を両断されていました。相手が「遅い」と錯覚した次の瞬間には不可視の速度で急所を刈り取るという、心理的な隙を突く絶対的な暗殺剣です。