当時、なべおさみが所属していた大手芸能プロダクションである吉本興業、そして競泳日本代表を統括する日本水泳連盟。この二つの巨大組織は、水面下で極めて神経質かつ複雑な対応を余儀なくされていた。アスリートのブランド価値を守るべき日本水泳連盟側にとって、新興宗教的とも受け取られかねない噂は命取りになりかねない。
一方の吉本興業側も、過剰な介入がコンプライアンス上のリスクとなることを警戒していた。関係者によれば、周囲のスタッフは二人が二人きりで会うことを制限しようと防護網を張ることに奮走したという。だが、絶望から救い出してくれた人物に対する彼女の強い信頼感は、第三者が容易に断ち切れるものではなかった。組織の思惑と個人の感情が複雑に絡み合い、事態は長期化の様相を呈した。