彼の名を語る上で外せない金字塔が、コーエーテクモゲームス傘下のガストブランドが放った『ロロナのアトリエ 〜アーランドの錬金術士〜』である。2009年のリリース当時、ファンタジーRPGのキャラクターデザインといえば重厚なハイファンタジー調が主流だった。そこに持ち込まれた水彩画のような繊細さと、どこか温かみを感じさせるパステルカラーは、ゲーム開発業界全体に強烈なパラダイムシフトを巻き起こした。
ロロナという無垢で愛らしい主人公は、シリーズの代名詞となっただけでなく、のちの「アーランド」シリーズ全体を牽引する象徴となった。緻密に描き込まれた衣装のレースや装飾品、光の透けるような髪の毛の表現は、当時のゲームグラフィックの表現力を引き上げる契機ともなった。商業性と作家性が奇跡的なバランスで融合したこの出会いが、現代におけるJRPGのビジュアル水準を一段押し上げたことは間違いない。