フェミニズム界の重鎮・上野千鶴子との真剣勝負となった対話録『往復書簡 限界から始まる』は、世代間・立場間の断絶を浮き彫りにした歴史的一冊として今なお読み継がれている。フェミニズムの理論的先駆者である上野からの容赦ない問いかけに対し、鈴木は「夜の世界」で身につけた生存戦略と、男社会に対するシニシズムを武器に対峙した。
「男に期待しない」という諦念を盾にすることで、自らをも傷つけてきたのではないか――上野の刃のような指摘を受け止めつつも、鈴木は現場のリアリティから決して逃げなかった。現代フェミニズムが時に陥りがちな「正しい被害者像」の押し付けに対し、違和感を表明し続ける彼女のスタンスは、若い世代の女性たちを中心に強い共感を呼び続けている。正論だけで救われない夜の住人たちの痛みを、彼女は決して見捨てない。