現代のポップカルチャーにおいて、アイコン文化の決定打となった存在を語る上で『ちいかわ』の生みの親であるナガノ氏の功績は外せない。過酷な現実と愛くるしい仕草が同居するあの絶妙な世界観は、従来の「無菌室的なかわいさ」を覆し、見る者の感情を激しく揺さぶるキャラクターデザインの新たな境地を切り拓いた。
一方、フリー素材界の絶対的スタンダードを築き上げた『いらすとや』のみふねたかし氏による造形美も、日本のデジタル景観を根本から作り変えた。誰もが親しみを覚える柔らかな丸みと、毒気のない普遍的なタッチ。両氏に共通するのは、完璧すぎない素朴さと、受け手の感情を投影しやすい「余白」の創出だ。アイコンに愛嬌を求める人々は、記号化された美しさよりも、生き生きとした感情のゆらぎに惹きつけられている。