味噌カツの起源を探ると、単一の店舗がすべてを発明したという単純な図式ではなく、昭和の食文化の中で複数の料理人が独自に昇華させた「同時多発的イノベーション」の歴史が浮かび上がってきます。
現在、発祥の地・元祖として名前が挙がるのは主に以下の3系統です。
- 味処 叶(名古屋市中区栄):昭和24年創業。カツを味噌ダレで煮込んでご飯にのせる「元祖味噌カツ丼」を考案。
- 矢場とん(名古屋市中区大須):昭和22年創業。屋台のどて鍋に串カツを浸した体験から、秘伝のサラサラ系味噌ダレを開発。
- カトレア(三重県津市):昭和40年創業。洋食の技法を取り入れ、皿盛りのとんかつに味噌ベースの特製ソースをかけたスタイルの元祖を主張。
このように、「丼仕立ての元祖」「タレ開発のルーツ」「皿盛り洋食スタイルの開拓」という文脈の違いによって、それぞれが元祖としての確固たる歴史を築いています。