「まさかここまで空気が変わるとは思わなかった」
堺市内の大手進学塾で長年教鞭を執る教室長は、そう吐露した。授業料無償化の完全定着に伴い、清風南海や帝塚山学院泉ヶ丘、初芝立命館といった有力私立校を「専願」で選ぶ層が急増している。年間数十万円単位で発生していた学費の心理的・経済的ハードルが消滅した結果、家庭の視線はストレートに「教育の中身」と「大学合格実績への直結度」へと向かい始めた。
校舎の建て替え、全館Wi-Fi環境の完備、海外名門大との提携プログラム。私立ならではの機動力で投資を続けてきた学校に、生徒が集まるのは自然の摂理ともいえる。公立の滑り止めではなく、最初から私立を本命に据える。その波が、中位層から上位層にかけてかつてない規模で押し寄せている。