SNSや知恵袋、社内チャットツールに投稿される利用者の声を拾い上げると、Web給与明細への移行が必ずしも全従業員にとって快適な体験になっていない現実が浮かび上がります。特に「マイポータル 事業所コード確認」に関する戸惑いは根深く、毎月支給日になると「コードが書かれた過去の書類が見当たらない」「社内ポータルのどこに記載されているのか分からない」といった悲鳴が散見されます。
都内のIT企業で人事労務を担当する専門職の手記やヒアリング調査からは、以下のような現場の実態が語られています。
「給与明細の電子化によって年間数十万円の印刷・郵送コストが削減されたのは事実です。しかし、毎月25日になると『ログインできない』という問い合わせが10件以上入り、その都度個別対応に追われています。大半はスマホの自動入力機能が古いパスワードを上書きしていたり、会社支給のアドレスと私用アドレスを混同していたりする初歩的なミスですが、従業員側は『給料が振り込まれていないのではないか』という心理的不安と直結するため、非常に切迫したトーンで連絡が来ます」(30代・労務統括担当者)
現場の摩擦を生んでいる背景には、「導入時の説明会は1度きりで、日々のアクセスは従業員任せ」という企業の丸投げ姿勢も影響しています。特に現場業務が中心で日常的にPCを使わない職種では、スマートフォンの操作性に対する不満が強く、デジタル労務ツールの定着には丁寧な動線設計が不可欠であることを物語っています。