ネット上の掲示板や知恵袋、SNSの考察ポストでは、定期的に「ら・ら・ら」の歌詞についてひとつの議論が巻き起こります。「『今日と明日はあなたに逢えない』『TVや雑誌を眺めて』というフレーズは、主人公が不倫の愛人関係にあることを示唆しているのではないか?」という説です。週末に会えないことの不自然さや、家庭のある男性を待つ女性の姿を読み取るユーザーが後を絶ちません。
しかし、当時の取材記録や本人のインタビューを検証すると、この歌詞のモデルは特定のドロドロとした不倫劇を描いたものではありません。大黒摩季自身が当時語っていたのは、「自分自身の多忙すぎる音楽活動によるすれ違い」と「周囲で働く20代中盤の女友達から毎夜のように受けていたリアルな恋愛相談」のハイブリッドであるという事実です。
20代半ばを迎え、学生時代のような無邪気な恋愛はできなくなり、お互いに仕事の責任が増えてすれ違う。会えない休日に一人で過ごす部屋の静けさや、友人の結婚報告に焦りを感じながらも自分のペースを崩せないもどかしさ。そうした「都会で働く大人の女性が誰しも直面する普遍的な孤独」を集約して言語化したのがこの曲でした。安易な不倫劇というゴシップ的解釈に落とし込むのではなく、誰もが持ち合わせている「満たされなさ」を描いたからこそ、特定の境遇を超えた幅広い支持を獲得したと言えます。